呼吸瞑想法


「思考を観察し始めた瞬間、高いレベルの意識が活動し始めます。

すると、あなたは思考を超えた大きな知性の領域に気づき始めます。

そしてまた、本当に大切なことのすべて―—美、愛、創造性、喜び、内なる平和―—

がマインドを超えて湧き上がってくることに気づきます。

そして、あなたは目覚め始めます」

                            エックハルト・トール


⊡ 瞑想

 

 仏教やヒンズー教などの宗教、座禅やヨーガなどの修行法、あるいは太極拳や少林寺拳法などの武術と切っても切れない関係にあるのが呼吸と瞑想です。また1990年には、J・ガバッドジンが「マインドフルネスストレス軽減法」を著し、マインドフルネス瞑想を世に広めました。

 

 井上ウィマラによれば、ブッダの説いた瞑想法には〈集中型〉と〈気づき型〉の二つのタイプがあるとされます。

 一つは、サマタ(止)、心をひとつの対象に繰り返し向けることで安定させ集中力を養うことであり、他の一つは、ヴィパッサナー(観)、その瞬間に起こっていることをありのままに見つめることを繰り返しながら洞察力を養うことです。 ソマティック・アプローチの基礎トレーニング・プログラムでは、サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想の両方を用います。

 

 ヴィパッサナー瞑想では、無意識のうちに浮かんでくる思考や感情や記憶をいったん受け止め、興味と好奇心をもって観察するようにします。 そして観察を終えたらまた瞑想に戻ります。 このような練習を積むことによって、どんな思考や感情がやってきても冷静に受け止められるようになり、もはやそれらに影響されずに知性的な判断ができるようになります。心理学では、こうした自身の感情や思考に一定の距離をとって冷静に観察することができる能力、およびそれらから受ける影響をコントロールすることができる能力のことを「メタ認知」のスキルと呼びます。

 

 サマタ瞑想では呼吸、曼荼羅、身体など特定のことに意識を集中します。 代表的なのは呼吸です。 呼吸は、あなたが何をしようと、何を感じようと、何を体験しようと、どこにいようと、常にあなたと共にあります。 姿勢をただし、呼吸を意識すれば、「いま、ここ」に注意を集中することができます。呼吸に意識を向けることで、自分の身体や、生のリズムに対して注意を保つことができます。

 また、集中するということは、見失うことなく特定のことに注意を向け続けるという自分の能力に気づくことでもあります。 その精神的な力を、ただ感じることです。 それが、いわゆる「意志」、「意志力」と呼ばれているものです。 

 

 私たちは身体のセンター、地球、宇宙、空間(例えば、身体近傍空間Peripersonal space )などの、あまり一般的でないものに意識を集中することもあります。 センターとはあなたの身体の中にある静かな空間で、あなたが心のバランスを失ったときにいつでも戻ることができる場所のことをいいます。 センターは広がったり、狭まったりします。 ひとによってセンターの場所は異なります。 胸のあたりか、または合気道で用いられる臍下(おへその下)の二か所が一般的ですが、頭の中心を入れて三か所とする考え方もあります。

 

⊡ 呼吸法

 わたしが気に入っていて、皆さんにおすすめしている呼吸法をご紹介します。

よろしければしばしお付き合いください。

 

 まずはじめに、以下の1から4までをゆっくり読んでください。 

 

1. 息を長く吸っているときには「息を長く吸っている」と知り、

  息を長く吐いているときには「息を長く吐いている」と知る。

 

2. 息を短く吸っているときには「息を短く吸っている」と知り、

  息を短く吐いているときには「息を短くはいている」と知る。

 

3. 「全身を感知しながら息を吸おう、全身を感知しながら息を

  吐こう」と訓練する。

 

4. 「身体の動きを静めながら息を吸おう、身体の動きを静めな

  がら息を吐こう」と訓練する。  

 

 次に、床または椅子に座り、肩の力を抜いて、リラックスした姿勢で、ゆっくり呼吸してみてください。目は閉じていても開いていても構いません。

上記の1から4をゆっくり順に思い浮かべながら、呼吸に意識を向けましょう。

 

 全身を感知するときには、あなたの足の裏、ふくらはぎ、床に接しているおしり、背中、肩、頭、首、胸、心臓、胃のあたりなどを順に意識してみるのもいいかもしれません。

 

 何か過去や未来についての考えが浮かんできたら、「ああ、そうなんだ〜」とただ受け止めて、また呼吸に意識を戻しましょう。

 

 最後は、身体の動きを静めながら呼吸します。

身体が徐々に静まっていくのを感じながら呼吸をしましょう。 

あるいは、身体の力が抜けて軽くなっていくのを感じながら呼吸をしましょう。

 

 ひと通り終わったら、3回ゆっくり深呼吸して、日常に戻りましょう。 

 

【注】

 

呼吸法にある1から4の文章は、「呼吸による気づきの教えーパーリ原点『アーナパーナサティ・スッタ』詳解」、井上ウィマラ著、から引用させていただきました。