アクセプタンス&コミットメント・セラピー

新世代の認知行動療法”アクセプタンス&コミットメント・セラピー”(通称ACT)


☆ うつや不安な気持ちでお悩みの方へ

 

青いそらでは、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)という新しいタイプの認知行動療法がお悩みを軽減させるもっとも効果的で理想的な方法と信じて、それを実践しております。

ACTの特徴は以下の通りです。

  • ACTの特徴の第一は、これまでの一般的な心理療法とは違って、うつや不安などの病的な症状を直接治そうとはしないことです。その代わりに、つらかった過去の記憶やこれから起こることへの不安に少し距離をとり、受け入れるための心のスペースをつくる練習をいっしょにします。
  • そのために用いるのがマインドフルネス瞑想やメタファーという不思議なツールです。慣れるにしたがってつらい気持ちや不安な考えを少し冷静に観察できるようになります。そうしてうつや不安と正面から闘うのを減らすことで、ご相談者には少しづつ心の余裕が生まれてきます。
  • 心の余裕は、たとえそれが少しであっても大丈夫です。多少でも冷静になれれば、「自分が人生でほんとうに大切にしたいこと(価値と呼びます)」について一緒に考えることができます。そして、その大切なことに沿ってマインドフルな一歩を踏み出すことができるようになります。
  • そうしてご相談者がご自身の価値に導かれて「自分らしい、豊かで、有意義な人生」に向かって少しでも歩き出すことができるようになれば、その付随的な効果として病的な症状は少しづつ軽くなっていくことがこれまでのデータから分かっています。

つまり、ACTでは、その方が自分らしい、豊かな人生を送れるかどうかは、自身の価値に導かれたマインドフルな行動ができるかどうかにかかっていると考えるわけです。

 

どうか信じてください。どれだけ多くのつらい症状を抱えていても、あなたがそれに対してマインドフルに対応できるようになりさえすれば、自分らしい、豊かな人生に向かって行動を起こすことは可能なのです。そして、精神的な症状は、ご相談者がご自身の価値に導かれて意義のある人生に向けて歩みだすことで、自ずと軽減されていきます。

 

 

 


☆ ACTについてもう少し知りたい方へ

 

ACTの全体像

 

右図は、ACTのヘキサフレックスとよばれるもので、6つのコア・プロセスからなるACTの全体像を示しています。

 

1.今、この瞬間への柔軟な気づき  

こころが今、この瞬間にあること、今起きていることすべてに意識を向けて、関りを持つことを学びます。

 

2.アクセプタンス 

過去の辛かったことや、これから起こることへの不安な気持ちにこころを開き、受け入れるスペースをつくります。闘ったり、反抗したり、逃げ出したり、圧倒されたりするのではなく、受け入れてそこに置いておきます。

 

3.脱フュージョン 

自分の考え(思考)や感情や記憶を、少し距離を置いて静かに観察することを学びます。一歩下がって観察できるようになると、自分のつらい思考などに囚われたり、振り回されることが減り、より今に意識を向けられるようになります。

 

4.文脈としての自己 

自己には大まかに言って3つの次元があります。1つは、考えている自分、次に、考えている自分を観察している自分、最後は、自己という存在から離れた、文脈の中にいる自分です。この辺はなかなか説明が難しいのですが、簡単に言うと、自分とか他人とかという区別のない空間に居る「わたし」です。

 

5.価値 

「青い空のカウンセリング」のページでもご説明した通り、ACTでは価値に導かれてマインドフルな人生を生きていくことを目指します。自分の価値をはっきりさせることは、人生を有意義にするうえで欠かせない手順であると考えます。

価値には5つの特徴があります。 

  • 価値は自由に選択できます。
  • 価値はいつもあなたと共に「いま」にあり、ゴール(目標)は未来にあります。
  • 価値には方向性があり、それに基づいて方向を見定め、前進することができます。
  • 価値という堅固な土台があると知ることで、心の安定と勇気がもたらされます。
  • 心の柔軟性を失わないために、価値は「軽く」持っている感じがベストです。 

 6.コミットされた行動 

コミットされた行動とは、自身の価値に導かれながら、その実現に近づいていくのに効果的な行動をとることです。価値に沿った行動を習慣化するために、さまざまな工夫を考えます。

 

心理的柔軟性 

 

上記の6つのプロセスは、個々に独立した別つ別のものではなく、一つのまとまりをもった全体です。各プロセスが形作るのが「心理的柔軟性」という立方体で、 イメージとしては6面体のダイアモンドです。心理的な柔軟性を高めることが、心理療法としてのACTの最重要課題ということができます。


価値を確かめる

 

以下はあなたのこころの奥底にある「願い」についての問いかけです。よかったら、心に響く質問をいくつか選んで考えてみてください。頭を使って考えるというよりは、「ハート&ソウル(心と魂)」を発揮して思い浮かんでくるものをキャッチするようにしましょう。

 

  ☆ あなたは、ご自分の人生にどうあってほしいですか?
  ☆ 人生で、あなたがほんとうに大切にしたいことは何でしょうか?
  ☆ 人生で、あなたがほんとうにやりたいことは何でしょうか?
  ☆ あなたにとって、自分らしさとは、自分らしく生きるとはどういうことでしょうか?

 

いかがでしたか?何か気づいたものがありましたか?  

 

マインドフルネス

 

マインドフルネスとは、柔軟に、オープンに、そして好奇心を持って何かに注意を向けることです。

 

ACTでは、柔軟に、オープンに、そして好奇心を持って自分の心の働き(思考や感情や記憶が浮かび上がってくること)に注意を向ける練習、すなわちマインドフルネスの練習をします。その際にに、もっともよく使われるのが「呼吸による瞑想」という方法です。(呼吸と瞑想についてはこちらもご覧ください)

 

リラックスして、うっすら目を閉じて、ゆっくり繰り返される自身の呼吸に注意を向けていると、思考や感情や記憶といった心の動きが、意識しなくとも自然に浮かび上がっては消え、浮かび上がっては消えしていくのが分かります。そうした無意識の心に働きに注意を向けることをマインドフルネスと、心の働きを観察している自分のことを「観察する自己(または文脈としての自己)」と、そしてその観察するスキルのことをメタ認知のスキルと各々呼びます。

 

なぜこんな練習をするのかといいますと、それは浮かび上がってくる思考や感情にいちいち振り回されたり、支配されたりしていると、自身の価値に基づく行動をとれなくなってしまうからです。 

 

マインドフルネス瞑想を精神世界の手法だ、として敬遠される方がいらっしゃいます。それはとても自然なことです。しかし、瞑想にストレスや痛みを軽減する効果があることは完全に実証されています。(ジョン・カバットジン著「マインドフルネスストレス低減法」などご参照)

また、近年の脳神経科学や神経生理学の研究によれは、マインドフルネス瞑想は、単に脳(こころ)をリラックスさせるだけではなく、脳の機能を改善する機能もあることが明らかになっています。詳しくはソマティック・アプローチこちらもご覧ください。

 

 

もう一度、文脈としての自己について

 

ACTの素晴らしさの秘密はは、実はこの「文脈としての自己」の概念にあるのではないかと、私は思っています。

文脈としての自己とは、自己を中心とする概念ではありません。この場合、焦点は自己にではなく、むしろ文脈の方に当てられていると私は解釈しています。文脈としての自己とは、マインドフルネスを通じて自分の心の動きに距離を置いて、その動きに柔軟で、優しくて、穏やかな意識を向けているときの自己が存在する空間/スペースのことを指します。 その空間にいるときの私たちは、自分でも他者でもなく「皆が同じ」という存在になっています。

 

ラス・ハリスはここから先は精神世界の領域に入るからといって、説明を避けています。

ですが、そこは興味津々の世界です。その空間とはどんな空間でしょうか? そこには何があるのでしょうか? そこにはだれがいるのでしょうか? 

 

心に浮かんでくるのは、まず、ユング心理学でいう普遍的無意識の空間です。心の働き方には人類共通の基盤があるという空間です。

次に、思い浮かべるのはアーノルド・ミンデルの言う「ドリームランド」や「エッセンス」の世界です。その世界には自他の区別がありません。他者とあなたは同じなのです。

 

ACTでは、人は自由に価値を選ぶことができます。選択について何らの制約もありません。しかし、皆が自己中心的な価値を選んだら、この社会はどうなるのだろう? ひどいことになるのではないか?という疑問が、ACTを学び始めたときの私にはありました。

 

しかし、文脈としての自己を、普遍的無意識の空間、あるいはミンデルの言うドリームランドの世界と同様な空間として理解したとき、その不安はまったくの杞憂にすぎないことが分かりました。なぜなら、マインドフルネスを通じて、人類はみな同じ存在であるという普遍的な空間を体験したことのある人間が自己中心的な価値を選ぶはずがないからです。

 


ACTについて読みたい方には以下がおすすめです。

➀ 「よくわかるACT」、ラス・ハリス著、武藤 崇監訳

② 「アクセプタンス&コミットメント・セラピー第2版」、スティーブン・ヘイズ他著、武藤 崇他監訳 

③ 「新世代の認知行動療法」、熊野宏昭著
④ 「ACTハンドブック」、武藤 崇編著
⑤ 「関係フレーム理論(RFT)をまなぶ」、ニコラス・トールネケ著、武藤 崇、熊野宏昭監訳