なりたい自分になる!


「なりたい自分になる!」

 

力強くて、とても気持ちのいい言葉です。

でも、なりたい自分になるとはどういうことでしょうか? その不思議な魅力はどこから来るのでしょうか?

 

いくつか参考事例を挙げることから始めましょう。                  

 

 

 

まず、ナチスのアウシュビッツ収容所から奇跡的に生き残ったV.E.フランクル 教授のトリックを著書「夜と霧」からの引用です。

 

【フランクル教授のトリック】

 

 私のあらゆる思考が毎日毎時苦しめられざるを得ないこの残酷な強迫に対する嫌悪の念に私はもう耐えられなくなった。そこで私は一つのトリックを用いるのであった。

 

 突然私自身は明るく照らされた美しくて暖かい大きな講演会場の演題に立っていた。私の前にはゆったりとしたクッションの椅子に興味深く耳を傾けている群衆がいた。・・・そして私は語り、強制収容所の心理学についてある講演をしたのだった。そして私をかくも苦しめ抑圧するすべてのものは客観化され、科学性のより高い見地から見られ描かれるのであった。

   

 ― このトリックでもって私は自分を何らかの形で現在の環境、現在の苦悩の上に置くことができ、またあたかもそれがすでに過去のことであるかのように見ることが可能になり、また苦悩する私自身を心理学的、科学的探求の対象であるかのように見ることができたのである。(中略) 

 これに対して一つの未来を、彼自身の未来を信じることのできなかった人間は収容所で滅亡して行った。未来を失うと共に彼はそのよりどころを失い、内的に崩壊し身体的にも心理的にも転落したのであった。 

 

          V.E.フランクル

 

次に、1963年8月28日のキング牧師が行なった「私には夢がある」という有名な演説を引用しましょう。

 

【私には夢がある】

 

私には夢がある。それは、いつの日か、この国が立ち上がり、「すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える」というこの国の信条を、真の意味で実現させるという夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か、不正と抑圧の炎熱で焼けつかんばかりのミシシッピ州でさえ、自由と正義のオアシスに変身するという夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。

今日、私には夢がある。

私には夢がある。それは、邪悪な人種差別主義者たちのいる、州権優位や連邦法実施拒否を主張する州知事のいるアラバマ州でさえも、いつの日か、そのアラバマでさえ、黒人の少年少女が白人の少年少女と兄弟姉妹として手をつなげるようになるという夢である。

今日、私には夢がある。

私には夢がある。それは、いつの日か、あらゆる谷が高められ、あらゆる丘と山は低められ、でこぼこした所は平らにならされ、曲がった道がまっすぐにされ、そして神の栄光が啓示され、生きとし生けるものがその栄光を共に見ることになるという夢である。

マーチン・ルーサー・キング

 

 

偉大なお二人の言葉を読んで、あなたはどう感じましたか? 

 

フランクル教授は「なりたい未来の自分」を思い描きました。夢の不思議な力のひとつは、私たちの意識を未来へ、それも出現する未来へと向けさせてくれることです。

現実の世界では、辛いこと、悲しいこと、困難なことがあります。心身ともに疲れ切って、心が挫けそうになったり、もう立ち上がれないと思ったりすることがあります。そんな苦しい「今」を乗り越える力を与えてくれるのが、未来を思い描くことの不思議な魅力です。


キング牧師は「出現したい理想的な夢」を読み、その場にいる多くの人に夢と希望を与えました。

夢と共にいるとき、その周りは明るく、暖かで、希望に満ち溢れます。人々が集まり、素晴らしい出会が訪れます。苦労もありますが、それに勝る喜びがあります。なぜなら、夢を実現しようとする試みそのものが今を生きる喜びだからです。 

 

お二人の言葉からわかるのは、「なりたい自分になる!」とは、「なる(become)」であると同時に、ある期間そういう自分で「いる(being)」ことです。つまり、構文上は未来形ですが、意味的には今を力強く生きることであり、現在進行形であることです。この今を生きる素晴らしい力をえられることが、未来の「夢」や「なりたい自分」を抱くことの不思議な魅力なのです。


3番目の引用です。


   「聖なる好奇心をもちたまえ。人生を生きる価値のあるものにするために」 

アルバート・アインシュタイン

 

人生を生きる価値のあるものにするために好奇心は不可欠です。好奇心を発揮して「ほんとうになりたい自分」を探しましょう。そして、そうありたいと願いましょう。

そう願うことで、あなたには今を生きる力がみなぎります。そしてあなたの周りは明るく、暖かで、希望に満ち溢れます。