コーチング

コーチングの由来、魅力、実際、そして危険性


コーチングの由来

コーチングの語源はCoach(大型四輪馬車)から来ています。 (下注)

つまり、コーチとはクライアントを今いる場所から、行きたい場所へ連れていってあげる四輪馬車なのです。

 

コーチングはまずスポーツの世界で広がりました。

1970年代に米国でベストセラーとなった「The Inner Game of Tennis]は、スポーツマンにとって筋力や技術だけではなく精神面を鍛えることがたいせつなことを指摘しました。

 

その後1990年代になってコーチングの研究が活発化し、スポーツの分野だけではなく、広く職場や家庭でもコーチングが利用されるようになりました。

 

コーチングの魅力

コーチングの魅力はひとの価値観や信念に働きかけ、勇気を奮い立たせ、「変化」を起こすことです。

 

一般的に、わたしたちは変化することに対して慎重で臆病です。

わたしたちに清水の舞台から飛び降りたい気持ちにさせてくれる、そうした願望とエネルギーを引き出してくれるのがコーチングです。

 

そのため、コーチはすべてのひとがそうしたエネルギーをもともと内に秘めていることを強固に信じていなければいけません。そして、コーチはクライアントが内に秘めたエネルギーを表出するまでクライアントに寄り添い、クライアントが自身の大きな目標にむかって前進するよう誘導します。

 

コーチングの実際

わたしが勉強した米国CTIのコーアクティブ・コーチングは、3つの基本技法と4つの基本原理とからなります。

 

基本技法

(1)フルフィルメント

(2)バランス

(3)プロセス 

 

基本原理

(1)クライエントは生まれながらにして創造的で豊かな資質をそなえた存在である

(2)主題はクライエントから

(3)コーチはクライエントとともに今、この瞬間を踊る

(4)コーアクティブ・コーチングはクライエントの生活全体を取り扱う

 

基本原理を信ずることは、技法よりも、何よりもたいせつです。コーチがクライアントをどのくらい信じてられるかがコーチングの成否を分けます。

尚、コーチングの理論と技法についてはこちらコーチングの隣接科学もご覧ください。 

 

コーチングの危険

コーチングの魅力が「変化を起こす」ことだとすれば、言うまでもなくそれは両刃の刃です。

 

冒頭にも述べましたが、わたしたち人間は変化することに対して臆病です。コーチングによって変化にチャレンジする勇気を得ることができるのは価値のあることです。

 

しかし、感情が高まった時にひとが下した重要な決断は、後で冷静に考えてみると、必ずしも適切な決断とは限りません。一時的な感情や思いで物事を決めていくと、ひとはどこに飛んでいってしまうのかわからないという危険があります。

 

  クライアントが自身の価値観や信念にもとづいて決断したとしても、そのプロセスでコーチがそれを促進しているとすれば、それはコーチングの結果です。 しかし、コンサルティングやカウンセリングと違って、コーチングは結果について責任を負いません。 

 

わたしはコーチングが本質的に感情面に働きかけて変化を促進するものである点に魅力を感じると共に、危険性も感じます。

コーチにはコーチとしての能力に加えて、①社会人としての常識、②ビジネスの知識と経験、そして③精神医学の知識、の3つは最低限求められるだろうとわたしは信じています。

 

 

【注】

補足ですが、Coachという言葉はハンガリーの都市Kocsから来ています。

15世紀頃、Kocsは大型四輪馬車づくりで有名だった街です。