人生と生涯発達課題

ひとの一生を考える際の道しるべとして「生涯発達心理学」があります。

生涯発達の標準的な考え方を知ることは、わたしたちが自分の生き方を考える際の参考になります。 

でも、あなたにはあなた自身の道があることも忘れないでください。

 

「自分自身になれ。他の人には他の人がなっている」 R. ハリス

“青いそら”

干場 進


生涯発達という考え方

 

ひとの発達と成長は、何時でも、幾つになっても、死ぬその日までつづくという考え方です。(定義については下注ご参照)

ひとの一生は一般的に九つの発展段階に分けられます。

 

①胎児期・乳児期

②幼児期

③児童期(小学生)

④青年期前期(中学生)

⑤青年期中期(高校生)

青年期後期(大学生・有職青年18~24歳)

成人期前期(25~45歳)

成人期中期(45~65歳)

成人期後期(65歳以上)

 

発達課題とは

 

ひとは一生を通じて成長し続けるのですが、発達段階の節目節目で乗り越えなければならない課題があることを意味します。

 

生涯発達心理学では発達課題を以下のように定義しています。

 

「ひとの生涯のそれぞれの時期に生ずる課題で、それを達成すればその人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になり、失敗した場合は、そのひとは不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げるのも困難になる課題」

 

つまり、わたしたちは成長するひとりの人間として「充実した職業生活や家庭生活」を送るために、それぞれの発達段階における達成課題を乗り越えていかなければなりません。

人生いろいろあってたいへんですが、いつも前向きに、その時その時の課題に一生懸命取り組んで、悔いのない人生を生きていきたいものです。

 

 

発達段階ごとの課題について

 

それぞれの発達段階でわたしたちが乗り越えていかなければならない課題とは具体的にどんなものでしょうか。  

考えなければいけない側面は2つあります。

 

ひとつは、ひとりの個人としてどういう人生を生きていきたいのかという視点です。自分を大切にしたい、自分らしさとは何かを模索する自分です。

  

他のひとつは、自分と社会との関係性、特に身近で重要な他者との関係性(Interpersonal relationship)、をいかにつくっていくかという視点です。社会的なつながりを持った人間としての自分です。 

 

ページを変えて、⑥青年期後期、⑦成人期前期、⑧成人期中期、⑨成人期後期、の4つの時期について、それぞれの発達課題とそれにかかわる諸問題を概観します。

 

 

疑問やご質問があればご遠慮なくこちらからお寄せください。

 

 

 

 

[注]  

(1)生涯発達心理学の定義

 

ドイツの心理学者、バルテス(Baletes, P.B.、1939–2006)は、生涯発達心理学を、「人の誕生(あるいは受精)から死に至るまでの生涯過程に、どのような個人内の変化と安定性・連続性が存在するのかを、そしてまた、そこにいかなる個人間の異質性と類同性があるのかを、記述・説明し、ときにはその最適化を図る学である」と定義づけました。

 

バルテスはそれまでの人が成人になるまでを主たる研究対象としてきた発達心理学を、人の生涯を対象とする生涯発達心理学へと発展させるうえで多大な貢献をしました。

 

 

(2)社会的存在としての発達

 

米国のパーソナリティー発達心理学者、ブラット(Sidney J Blatt, 1928-)によれば、人は2つの動機から自らの人格を発達させていくとしました。

 

① 関係構築動機:対人関係を徐々に安定させ、相互に満足できるものにする動機

② 自己定義動機:自己同一性を、固定的、現実的、肯定的で、分化され統合されたものに発達させる動機 

 

関係性構築動機と自己定義動機は相互に影響し合いながら、人間が個として、また社会的な存在として成長し、発達していくよう働きかけます。