青いそらにおける対話とは


 「対話とは相手を説得するのではなく、共通の理解を探し出す行為である。 誰もが異なった意見を持っているかもしれないし、持っていないかもしれない。それはさほど重要ではない。考え方を共有すること、良心を分かち合うという態度の方が、意見の内容よりはるかに重要である」 

    「ダイアローグ」、デヴィット・ボーム著より


⊡ 「誰かと接するたびに、人生をより良いものにするチャンスがある」

 

 アレックス・ロビラの言葉です。私たちもその通りだと思います。もともと人間の脳は、人間に限らず多くの哺乳類はの脳は、夫婦、子供、親族、仲間、そして同じ種として助け合って生きていくようにできています。誰かと話し合う(会話と対話)ことは、人と人とが助け合い、そして人生をより良いものにするために欠くことのできないものです。

 

 しかし、実際はどうでしょうか?

私たちは家族や他者とほんとうに上手く話せているでしょうか?

「楽しくて、豊かで、かつ有意義な会話」 ができているでしょうか?

当たり障りのない話だけでその場をごまかしてはいないでしょうか?

 

 私たちは、私自身を含めて、お世辞にも話し合いが上手くできているとはいえないのが現状ではないでしょうか。私たちは会話について、すなわち話す、聞く、質問することとその際の姿勢などについて、もう少し学ばなければならないのです。

 

⊡  青いそらでは、会話には3つのレベルがあると考えています。(下図ご参照)

 

レベルⅠ:日常会話、当たり障りのない日常の会話です。会話の土台となる部分です。
レベルⅡ:正直な会話、さまざまな意見が出て、その違いが表面化してきます。
レベルⅢ:対話(ダイアログ)、自由でオープンな会話です。お互いの意見や考え方の違いが共有され、私たちという意識が生まれます。

 

【会話のダッシュボード】

 

 自動車のダッシュボードには図のようなメーター(回転速度計)などがのっています。車のスピードが上がればその針は右に振れ、スピードが下がれば左に戻ります。針が右に振れれば振れるほどスピードは上がり、運転には真剣さが増します。

 会話もダッシュボードと似ています。冗談を言っていたと思ったら急に真剣になったり、真剣に話していたのに、いつのまにか笑いだしたり、また本気になったり、といった風にレベルⅠからⅢのあいだを行ったり来たりしながら会話は進んでいきます。

 「楽しく、豊かで」かつ「有意義な」会話というのは、この3つのレベルをスムースに行ったり来たりする会話であり、また3つのレベルの会話が上手く組み合わされている会話だと私たちは思っています。

 

⊡ レベルⅢの難しさ

 

 レベルⅡの正直な会話が続くと、少しずつお互いの意見や考え方の違いが表面化してきます。それをそのままにしておくと、レベルⅢの対話へではなく、勝敗を決するための議論や討論を経て「敵対」へと、あるいは支配的な勢力から「抑圧」されて沈黙へと移行してしまう危険性があります。そうなると会話は有意義で生産的なものになりません。

(ここだけの話ですが、敵対の例は米国で、沈黙の例は日本でよくみられるのではないでしょうか)


 敵対や沈黙に進むのを避け、自由でオープンな会話(対話)に生産的で創造的なレベルⅢの会話にスムースにシフトさせるためには、さまざまな工夫が必要です。わかりやすく話す、よく耳を傾ける(傾聴)、適切な質問をする、支援的な姿勢をとるなどです。私たちもそれらすべてが大切だと思っています。しかし、私たちは、それらの背景にある以下のような根源的な要素に焦点を当てます。

 

① 共感する力

相手の考えや気持ちが分かるだけでなく、その気持ちや感情を自分自身のものとして感じることのできる力です。意見の違いを共有することを可能にし、私たちという意識を生み出します。

② 質問力

素朴な好奇心に支えられた「何だろう?」「なぜだろう?」と感じる力、およびそれを言葉やジェスチャーを用いて他者に問いかけるスキルのことです。また、その好奇心はメタ認知の能力に左右されます。

 

私たちは➀と②が両立・共存することが不可欠だと思っています。ほぼ同様のことを米国の思想家J・W・ガードナーが言っているので引用しましょう。

 

「活発に批判する習慣は、社会の変革に欠かすことはできない。国を愛するあまり、活力に満ちた批判を遮ってしまうような国民は、自国を救うことはできない。しかし、愛のない批判、破壊力はあるが制度を育て、強化し、反省させることのできない批判もまた、国を救うことができない」

              「自己革新」、ジョン・W・ガードナー著より

 

⊡ 対話の会の目指すところ 

 

1. 私たちは「対話の会」を自由で楽しい話し合いの空間にするとともに、参加者の皆さんのご協力を得て、会話をより「有意義で充実したもの」にするためにはどうしたらいいのかを一緒に考えていく実践的で体験的な学びの場にしたいと考えています。 


2. 私たちは多様性、複雑性、不安定性、テクノロジーの急速な進歩などを特徴とする21世紀という時代に生きています。そうした中で懸念されていることの一つに関係性の希薄化や社会的孤立などの問題があります。 私たちは会話について考え、話し合いの輪を広げることを通じて、微力ながらより良い社会の実現に貢献したいと考えています。


☆ 対話の会を、来る10月16日から再開します。詳しくは2021年度「対話の会」のご案内のページをご覧ください。ご興味をお持ちの方は、是非こちらからご一報ください。

お問い合わせを一同お待ちしています。

 対話の会 幹事 

干場、岩崎、岡野、加藤