対話


対話とは:

 

対話(ダイアログ)とは、私たちが日常交している会話のうちの、「あるテーマについてのオープンで、自由で、前向きで、正直で真剣な話し合い」の部分を指します。対話は会話のうちの特殊な部分と言っても差し支えありません。

 

日常の当たりさわりのない会話では、たとえ内心ではお互いの意見や価値観に相違があったとしても、それが会話のなかで表面化することはあまりありませんし、またそうする必要はありません。そこまで深い話し合いではないのです。

 

しかし、対話は、むしろ逆に、他者とのあいだに意見の相違があることを前提とし、かつその相違を明らかにするところに成立します。対話は、意見や価値観や世界観の違いがある人々の間で行ってこそ、有意義で効果的なものになるのです。注意しなければならないのは、その違いゆえに、対話ではしばしば緊張関係が生じることです。対話では、そうした緊張関係が紛争にまで発展しないように、あらかじめ話し合いの場のルールを定めたり、お互いに尊重し、尊敬し合う気持ちをもって話し合う、あるいは無理に意見の一致を求めようとしないなどといった配慮が大切になります。

 

会話と対話は、このように異なる性格を持っています。しかし、穏やかに日常的な会話をしていても、あるテーマについて皆が急に真面目なトーンになることがあります。話し合いが、会話モードから対話モードに切り替わったわけです。このように、実際の会話は、会話モードと対話モードを行ったり来たりすることがあります。このような場合では、あらかじめ場のルールを定めておくというわけにはいきません。この辺がコミュニケーションの難しさでしょうか。 

 

対話の目的・効果:

  1. 「もの言わざるははらふくるるわざなり」と言います。言いたいことを言わずに腹の中にため込んでいるのは不健康です。対話の目的のひとつは、はらにため込んでいた意見を、良いことも悪いことも含めて、包み隠さず正直に話すことで気持ちが楽になることです。あるいは、悩みごとを他者に聴いてもらうことで気持ちが少し楽になり、前向きのエネルギーがよみがえってくるということもあるでしょう。
  2. 対話の質は、主として対話の切っ掛けをつくる質問や課題提起のし方が巧みかどうか、および対話の場が心理的安全性をどのくらい備えているによると考えられます。質の高い対話を交すことによって参加者には仲間意識というか、ある意味連帯感のようなものが芽生えることが考えられます。
  3. 対話の効果は、対話に参加する人々の多様性があればあるほど大きくなると考えられます。多様な意見や考え方が混じり合う混沌の中からいままで考えたこともないような創造的なアイディアを得られるかもしれないこと。
  4. 創造的なアイディアと連帯のエネルギーが、対話の輪の広がりを通じて組織全体に、あるいは社会全体に広がっていくことによって、変化とイノベーションが生まれることが期待されること。
  5. 対話力(下記)と質問力(後記)を磨くことができること。

 

対話力:

 

対話力とは主として、1.話し合う態度や姿勢と、2.コミュニケーションスキルとからなる統合的な能力です。

  1. 前者としては、好奇心、他者から学ぼうとする姿勢、自他を尊重・尊敬する姿勢、誠実さ・謙虚さ・優しさを大切にする生き方などの姿勢。
  2. 後者としては、話す力、聴く力、質問する力、論理的な思考力、洞察する力、内省する力などからなる総合的なコミュニケーションスキルといえるでしょう。